PATENT TERM ADJUSTMENTによる存続期間延長について

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1.概要

2000年5月29日以降に出願された米国特許出願につきましては、当該出願が登録されるまでの間の審査期間中に米国特許商標庁(USPTO)の処理に時間がかかった場合には、一定の条件下で特許権の存続期間が延長されます(米国特許法第154条(b)及び米国特許法規則第1.702-1.705条)。この存続期間の延長制度は、特許期間調整(Patent term adjustment:PTA)と呼ばれています。

延長されるべき期間の計算は、米国特許商標庁(USPTO)が自動的に決定し、特許発行時に決定された延長期間について通知を行います。また、決定された延長期間は、米国特許公報のフロントページに記載されています。

米国特許商標庁(USPTO)が決定した延長期間が正しくないと思われる場合には、特許発行から2月以内(最長で5月延長可能)に米国特許商標庁(USPTO)に対して再計算の申請を行うことができます。

2.計算方法

本制度により延長される存続期間は、以下の計算式により決定されます。

(PTAによる延長期間)=(USPTOにおける遅延期間)-(出願人による遅延期間)

2.1 USPTOにおける遅延期間

米国特許商標庁(USPTO)における遅延期間は、以下の計算式により決定されます。

(USPTOによる延長期間)=(遅延A)+(遅延B)+(遅延C)
             -(遅延Aと遅延Bの共通期間)-(遅延Bと遅延Cの共通期間)

遅延A(米国特許法第154条(b)(1)(A))

・・・米国特許商標庁(USPTO)が以下の通知を行うべき期限を徒過した期間

(i)出願日/国内移行日から14月以内に最初の実体的拒絶理由通知又は許可通知を発行しない場合、その徒過期間

(ii)応答又は審判請求から4月以内に応答しない場合、その徒過期間

(iii)許可可能なクレームが出願に含まれている場合であって、審判部又は連邦裁判所の決定から4月以内に何らかの通知をしない場合、その徒過期間

(iv)特許発行料の納付から4月以内に特許を発行しない場合、その徒過期間

遅延B (米国特許法第154条(b)(1)(B))

・・・米国特許商標庁(USPTO)が出願日/国内移行日から3年以内に特許発行しない場合、その徒過期間

なお、継続審査請求(RCE)した場合、継続審査請求により要した期間は含まれません(Novartis v. Lee, 740 F.3d 593 (Fed. Cir. 2014))。

(遅延B)= (特許発行までの期間)-(RCEから特許許可通知までの期間)-3年

遅延C (米国特許法第154条(b)(1)(C))

・・・インターフェアランス、政府による秘密保持命令の期間、結果的に特許性が認められた審判及び訴訟の期間

米国特許商標庁(USPTO)における遅延期間の計算方法

原則としては、これらの遅延の合計であって、実質的に特許発行が遅れた期間を超えない期間が延長されます。即ち、遅延Aと遅延Bの両方で計算されてしまう日、及び、遅延Bと遅延Cの両方で計算されてしまう日については、いずれか1方のみで算入されることとなります(Wyeth v. Kappos, 591 F.3d 1364 (Fed. Cir. 2010))。

2.2 出願人による遅延期間

出願人による遅延期間には、以下があります。

(i)出願の審査を終了させるために合理的な努力を怠った期間

(ii)米国特許商標庁における遅延期間の遅延Bの期間について、米国特許商標庁からの通知の発送日から3月以内に応答しなかった場合、その超過期間

(iii)米国特許法規則第1.704条(c)(1)-(12)に定める期間

(1)出願人による審査停止申請(Suspension of action under §1.103)がなされた場合、申請日から当該停止期間の終了日までの期間
(2) 特許発行遅延申請がなされた場合、当該申請日から特許発行までの期間
(3) 特許出願の放棄又は特許発行料の延滞納付があった場合、当該放棄又は特許発行料の納付期限から、次のいずれかの早いほうの日までの期間(i)出願の回復に関する通知日もしくは延滞特許発行料の受領日、又は(ii)出願回復のための許可可能な申請日もしくは延滞特許発行料の納付申請日から4月
(4) 放棄通知日から2月以内に放棄決定の取消申請手続若しくは出願回復申請手続を行わなかった場合、放棄通知日から2月経過した日から放棄決定の取消申請日若しくは出願回復申請日までの期間 (5)仮出願を本出願に変更した場合、仮出願の出願日から仮出願の本出願への変更申請日までの期間 (6)拒絶理由通知又は特許許可通知の発送日の1月前以降に、自発補正又はその他の自発的手続であって、追加的な拒絶理由通知又は特許許可通知の発送が必要な手続を行った場合、オリジナルの拒絶理由通知若しくは特許許可通知の発送日から追加的な拒絶理由通知若しくは特許許可通知の発送日までの期間、又は、4月のいずれか短い期間
(7)不備のある応答を提出した場合、当該応答日から不備を解消した応答又は書類の提出日までの期間 (8)審査官から要求されたものではない追加的な応答を提出した場合、最初の応答提出日から追加的な応答の提出日までの期間 (9)特許審判部(Patent Trial and Appeal Board: PTAB)の決定(当該決定が特許法に基づく新たな拒絶理由若しくは拒絶理由を指定していない供述を含むものを除く)、又は連邦裁判所による決定の後、拒絶理由通知若しくは特許許可通知の発送日の1月前以降に、補正若しくは他の書類を提出した場合であって、追加の拒絶理由通知若しくは追加の特許許可通知を必要とする場合、オリジナルの拒絶理由通知若しくは特許許可通知の発送日から追加的な拒絶理由通知若しくは特許許可通知の発送日までの期間、又は、4月のいずれか短い期間
(10) 特許許可通知の発送後に手続補正書又は他の書類を提出した場合、当該手続補正書又は他の書類の提出日から拒絶理由通知又は補正若しくは他の書類に関する応答通知の発送日までの期間、又は、4月のいずれか短い期間
(11) 審判理由主張書を審判請求書の提出日から3月以内に提出しなかった場合、審判請求書の提出日の3月後から審判理由主張書又は継続審査請求の提出日までの期間
(12) 継続出願により更に審査された場合、特許権として登録された(継続)出願の実際の出願日よりも前の期間

 なお、本制度は、医薬品等の臨床試験期間に関する存続期間延長制度(Patent term extension: PTE)とは別の制度ですので御注意下さい。また、審査過程でterminal disclaimerを提出している場合、本特許権の存続期間はterminal disclaimerの対象となる特許権の存続期間を超えることはありませんので、御注意下さい。

3.他の制度との関係、存続期間満了日の計算方法

医薬品等の臨床試験期間に関する存続期間延長制度(Patent term extension: PTE)

特許期間調整(Patent term adjustment:PTA)制度 は、医薬品等の臨床試験期間に関する存続期間延長制度(Patent term extension: PTE)とは別の制度ですので御注意下さい。存続期間延長制度(Patent term extension: PTE)による存続期間の延長は、特許期間調整(Patent term adjustment:PTA)制度による延長に加えて、更に存続期間が付加されます。

terminal disclaimer(存続期間の一部放棄)

審査過程でterminal disclaimerを提出している場合、特許期間調整(Patent term adjustment:PTA)により特許権の存続期間が延長されたとしても、当該特許権の存続期間はterminal disclaimerの対象となる特許権の存続期間を超えることはありませんので、御注意下さい。

存続期間満了日の計算方法

よって、1995年6月8日以降に出願された米国特許権の存続期間満了日の計算方法は以下のとおりとなります。

なお、米国特許商標庁(USPTO)は、特許権存続期間計算用のプログラム(β版)を提供しています。